室津の港は「風を防ぐこと室のごとし」から名付けられました。古くから瀬戸内海航路の重要な港として栄えたところで、現在も本陣や豪商跡がのこる歴史を感じる町です。坂道を下がると港湾に沿って情緒ある家並みが伸びています。郵便局の入り口脇に司馬遼太郎の「街道を行く」の一文があります。室津には美貌と知性に富んだ多くの遊女がいたそうです。井原西鶴の「好色五人女」に登場する「お夏清十郎」は有名ですが、清十郎の生家・跡地の碑などもあります。法然上人が讃岐に配流の途次、その生業から罪意識に悩む遊女たちを教化したことは「法然上人行状絵図」にも描かれています。知恩院の末寺になる当地の浄運寺には法然上人御真影、お夏の木像、友君の座像や山門前には海を背景にした遊女・友君の塚があります。友君は木曽義仲の愛妾(山吹御前)。当地に逃避して遊女として暮らしていたようですが出家して念仏を称え往生をとげたそうです。一方、室津港の南の入り口には賀茂神社が鎮座しています。 京都の上賀茂神社と同じ祭神(賀茂別雷大神)を祀り本殿は三間社流造り、境内には下鴨神社の糺の森と同じ連理の榊(2本の木が途中から1本に結ばれている)などがあります。
御津町の海沿いの七曲の道からの眺め(バスの車中から)
室津の浄運寺の山門前に海を背景にした遊女・友君の塚
室津港の南入り口にある賀茂神社 (兵庫県たつの市)